実験動物福祉情報
科学研究費研究成果



 私たちは動物実験の社会への情報発信に関する研究について、これまで2016年〜2018年と2019年〜2021年の2度にわたり日本学術振興会から科学研究費を受領して研究を実施しています。これらの研究の概要と、これまでに得られた研究成果について公開いたします。



採択された科学研究費研究の概要

 科学研究費研究(1)  

  • 研究期間:2016年〜2018年、研究種目: 基盤研究(C)(一般)、課題番号: 16K07080
  • 研究課題名(和文):動物実験の社会的理解を得るための情報発信のあり方についての研究
  • 研究課題名(英文):Research on the way of information transmission to gain social understanding of animal experiments
  • 研究代表者:笠井 憲雪(KASAI, NORIYUKI) 東北大学・医学系研究科・名誉教授
  • 研究分担者:打越綾子(UCHIKOSHI, AYAKO) 成城大学・法学部・教授
          越本知大(KOSHIMOTO,CHIHIRO) 宮崎大学・フロンティア科学実験総合
          センター・教授
  • 研究目的:我が国では動物実験について実施者側から一般市民への情報発信が極めて少ない。このため一般市民の動物実験への理解が乏しいと考えられる。そこで、我が国の一般市民の動物実験への意識調査を行い、さらに情報発信の現状を調査し、効果的な情報発信の方法を研究し、あり方を提言する。
  • 研究方法(サブテーマ):
    ① 一般市民への動物実験に関する意識調査
    ② 機関等による情報公開の現状と問題点
    ③ 情報発信に関する海外の状況調査
    ④ 一般市民や子供達への出版事例の反響や効果の調査
    ⑤ 中学・高校の生物教育における動物を用いた学習の現状とその在り方を研究し、適正な方法を提言する。
    ⑥ 情報発信における研究及び動物実験倫理上の課題の解明
  • 平成28年度 (2016年度) 基盤研究(C)(一般)研究計画調書(平成27年10月)
  • 科学研究費助成事業 研究成果報告書(令和元年5月)

 科学研究費研究(2)  

  • 研究期間:2019年〜2021年、研究種目: 基盤研究(C)(一般)、課題番号: 19K06453
  • 研究課題名(和文):動物実験の社会的理解を得るための情報発信基盤構築に関する研究
  • 研究代表者:笠井 憲雪(KASAI, NORIYUKI) 東北大学・医学系研究科・名誉教授
  • 研究分担者:打越綾子(UCHIKOSHI, AYAKO) 成城大学・法学部・教授
          越本知大(KOSHIMOTO,CHIHIRO) 宮崎大学・フロンティア科学実験総合
          センター・教授
          加隈良枝(KAKUMA, YOSHIE) 帝京科学大学・生命環境学部・准教授
  • 研究目的:上記の2016年〜2018年に実施された科学研究費研究「動物実験の社会的理解を得るための情報発信のあり方についての研究」の研究成果に基づき、テーマを絞って、情報発信の具体的方法を研究し、それに基づき実際に情報発信基盤を構築することを目的とする。
  • 研究方法(サブテーマ):
    ① 一般市民の動物実験に関する意識の継続調査の基盤確立
    ② 高校生物教育の動物を用いた学習の適切な支援方法の提言と支援組織の構築
    ③ インターネットによる動物実験情報発信基盤の構築
    ④ 動物実験に関する情報発信における倫理に関する研究
  • 平成31年度 (2019年度) 基盤研究(C)(一般)研究計画調書(平成30年10月)

研究成果(2016年〜現在)   

2016年と2019年に採択された科学研究費研究における成果について、公開します。



 本研究全般について  
 ―本科学研究費研究を開始した年の秋に行われた日本実験動物技術者協会総会シンポジウムでの
  発表内容の詳細版。

  • 「社会における動物実験研究者の情報発信の役割—よりよい双方向コミュニケー ションのために—」、伊勢田哲治、実験動物技術、vol.52、No.1、pp.25-31、2017
  • 「動物実験に関するアンケート調査の検討」、打越綾子、実験動物技術、vol.52、No.1、 pp.33-41、2017研究課題名(和文):動物実験の社会的理解を得るための情報発信のあり方についての研究
  • 「動物実験の社会的理解を得るためのコミュニケーションのあり方研究について」、笠井憲雪、実験動物技術、vol.52、No.1、pp.43-46、2017

 サブテーマ「一般市民の動物実験に関する意識の継続調査の基盤確立」  


 サブテーマ「高校生物教育の動物を用いた学習の適切な支援方法の提言と支援組織の構築」  



 サブテーマ「動物実験情報発信基盤の構築」  

  • イギリスの一般市民への動物実験に関する情報発信の状況
     ―研究班員3名による英国の動物使用研究情報発信機関の訪問記―
       加隈 良枝(帝京科学大学)、久原 孝俊(順天堂大学)、笠井 憲雪(東北大学名誉教授)
     < 訪問調査研究の報告(Ⅰ) ―市民へ動物実験の理解を促す活動団体“UAR”― >
       LABIO21 No.79, p30-32, 2019
     < 訪問調査研究の報告(Ⅱ) ―英国における動物実験に関する情報公開のための協定―
                      (Concordat for Openness on Animal Research in the UK) >
       LABIO21 No.80, p30-34, 2020
     < 訪問調査研究の報告(Ⅲ) ―英実験動物福祉推進機関NC3Rsと代替法推進機関FRAME―>
       LABIO21 No.81, p35-38, 2020
     < 訪問調査研究の報告(Ⅳ) ―オックスフォード大学バイオメディカルサービス(BMS)と
                               王立動物虐待防止協会(RSPCA)― >
       LABIO21 No.82, p18-22, 2021  

 サブテーマ「動物実験に関する情報発信における倫理に関する研究」  



 関連文献・資料  

(1)イギリスUAR(Understanding Animal Research)のwebsite
 ―イギリスで動物を使用する研究について一般市民の理解を深めてもらうための活動を
  している非営利組織。高校や中学の生物教育教材等も掲載されている。
(2)Concordat for Openness on Animal Research in the UKのwebsite
 ―UARが中心になり動物実験に関わる研究機関や学協会が動物実験の情報公開にむけて
  結んだ協定についての詳細
(3)Concordat for Openness on Animal Research in the UK Annual Report 2019
 ―情報公開協定の実施年次報告の2019年版
(4)オックスフォード大学などの動物施設のバーチャルツアー
 ―オックスフォード大学などの動物施設の中をストリートビューの形で見学することが
  できる。
(5)英国国民の動物実験に関する意識調査について(Ipsos MORI)
 ―英国で2年に一度実施されている意識調査の2018年版